ある子犬の生命力

治療内容:カイロプラクティッ ク                 
初回来院: 2006年5月 (ヨークシャテリア、メス、6歳)
受信:2007年1月

                                          

 

  カイロ体験記

 

いつも通りの生活の中、突然我が家の愛犬モニカ(ヨークシャテリア・メス・6歳・1.6kg)が食事を吐くようになりました。 小分けにしたり胃腸を休ませたりしながら一週間が経過、状況が少し改善された様に思えたのですが、徐々に膨れてゆく腹部に違和感を覚え、動物病院へ行きました。 色々な検査の結果、蛋白値が異常に低い状態の「栄養失調」だと診断され、腹水が溜まってきており飢餓状態との事。 しかし、飢餓になる理由がレントゲンをとっても、血液を採っても、超音波で確認しても見当たらなかったのです。 確かな原因が見当たらない以上、手の施しようがありませんでした。 訳も分からず、ただ死んでしまうのではないかと不安になり、日頃お世話になっていた久枝先生を思い出し、モニカのエネルギーを遠隔でみて頂く事にしました。 お休みだったにもかかわらず快く引き受けてくださりみて頂いた所、エネルギー事態は低い状態にあるが死んでしまうような状況にはありませんと言って頂きました。 どこの臓器が悪いというような事も見当たらず、時間をかけて少しずつ衰えていった免疫力を少しずつ快復させて行かなければならないのでは、と言う事でした。

 

私はこの答えで考え方を切り替えるべきだったのだと後で思うことになります。

 

間もなく食欲も無くなり、元気が無くなり、大好きな散歩も出来なくなりました。 そして発見から一週間で固形状だったうんちも下痢状になってゆきました。 徐々に腹部は腫上がり、針を刺せば破裂してしまいそうなほど腹水が溜まり、歩くことも呼吸することも困難になりつつありました。 毎週血液検査をし、蛋白の数値に一喜一憂する日々が続きました。 病院からはステロイドや抗生物質を処方され、食事の改善を進められます。 セカンドオピニオンを求め、何件もの動物病院にも相談に行き、大学病院で腕の良いと言われている先生にも診ていただきましたが解決方法ははっきりと見つからず、ただひたすらステロイド投薬の量が増えるのみでした。 状況を良くする為の投薬は更なる状況の悪化を進行させているように思えましたが、これしか方法が無いものと信じ、日々嫌がる苦いお薬を弱っている子の口に押し込む日々に、それでも前に進んでいるものと信じていました。 投薬の副作用で長毛は抜け落ちやせ衰えて行く愛犬に、体に負担のかからない方法で治せる方法は無いものか調べあさり、参考になりそうな本を読み、ホメオパシーやハーブや漢方等の情報を集め、代替療法を求め始めました。

 

このままでは、別の原因で死んでしまう。

 

投薬を始めて2ヶ月、針を刺して腹水を抜くだけの対処的な処置を4度もしました。  体重は1.2kgまで減少。骨と皮しかない体の上をかなり抜けてしまった毛が覆い、お腹だけが膨れ上がり、肩で息をし、私から離れたところに行き震えていました。  衰弱してゆくだけで改善が見られない為、動物病院では栄養点滴を開始することに。  しかし手足の血管は細すぎて栄養を注入できず、首の後ろから中心静脈にカテーテルを挿入する方法しかなく、入院。  一時的に蛋白は増加され、腹水が治りました。 快復に向かっていると思っていた矢先、突然アレルギー反応で顔や胸部はむくみ、内出血し始め呼吸困難になり、舌は紫に、眼は潤み、死にそうになりました。
しかし、それも又、何に対するアレルギー反応なのか判明しませんでした。

 

病院にも不信感が湧き、治療の根本から見直す必要がありましたが、仕事と看病生活でゆとりの無い私にはより良い考えは浮かばないでいた時、私のカイロとエネルギーの予約の日が来ました。
私事で往復と治療で約5時間家を留守にするのは、本当は気が進まなかったのですが、私が元気でないと!思い、キャンセルせず治療してもらう事にしました。
カイロの治療を始めた時、この二ヶ月、一心不乱だったせいか、私の体調はまだ疲れを感じる状況に無く、「どうですか?」と聞かれても「ちょっと家の犬が病気でバタバタしていて、ストレッチ全然してないんです。」としか答えられない始末。
私自身の痛いところも、辛いところも感じる余裕等ありませんでした。

 

すると、一彦先生は何故か犬の病状を親身に聞いてくださり、突然「犬の治療は始めてですが診てみましょうか?」とおっしゃって下さったのです。 薬の副作用に悩んでいたので、カイロで良くなれば願ったり叶ったりです。 ここでは子どもの患者さんをよく見かけていましたし、私の体を安心して診て頂いている所に、自分の犬も見て頂けるなら、これ程望ましいことは無いのではと思いました。 エネルギーワークを受け、すぐ家に戻り、他の患者さんに迷惑が掛からないようにと診察時間が終わった時間を作っていただいて、久枝先生の協力のもと、5月13日、モニカの初カイロ治療がスタートしたのです。

 

何をどうしたのか、私には良くわかっていません。 しかし、モニカには何の負担も無く、検査と治療が終わったのでした。
何件もの病院を試しても状況が全く良くならなかった為、今回も大きな期待は、正直していませんでした。
しかし、翌日から、下痢や浮腫(ふしゅ)は続くものの足の踏ん張る力、眼の輝き、食欲等に、少しでしたが、いきなりの変化がみられました。

 

5月15日、2度目の治療。

 

色々なことを試し過ぎていた為、何が効いているのか判断が付きませんでしたが、何か確実に「前」に向かっている気がしつつ、強い薬の投薬も続けていました。 見たことも無い真っ黒な泥のような下痢が出始めました。
針治療をしている獣医さんから勧められた健康補助食品の反応かも知れません。
宿便にも似た恐ろしい色をした下痢が、ピュ〜っと音をたて、床に飛び散るようになりました。

 

5月17日、3度目の治療。

 

普段自分が受けているような治療をモニカの小さな背中にも施されてゆく。
そして先生は「もう大丈夫です、後は彼女の生命力を信じてください。」と。 「もう、大丈夫ですよ。」と? まだ、お尻から水鉄砲の様に、しかも黒い下痢が続く最中に、もう大丈夫って?本当ですか?  たしかにここ四日、浮腫は引いてきたし、なんだか良い気がしますけど、でも?もう?OK? 2ヶ月以上、どんな獣医も解決できなかった事をたった三回の治療で たった一週間で、OK?
すると先生は「不安だったらもう一度だけ来ますか?」と。

 

5月22日、最後の治療。

 

下痢は続いていた。小さくなったものの浮腫も内出血もまだあった。
少し慣れてきた治療を施してもらう。
獣医から処方されていたステロイドや免疫抑制剤、抗生物質、薬局で勧めて頂いた漢方を持参し、これらの物質が今のモニカの体に適した薬なのかどうかテストしてくれた。 彼女の体から伝わる「YES」や「NO」を私の体をモニターにして先生が聴いてゆく。処方されていた薬は、「イラナイ」それがモニカの体からの答えでした。

 

「もう、大丈夫です、彼女の生命の強さを信じてください。」
「彼女は自分で治ろうとしています、私はお手伝いしただけです。甘えてきたら少し突き放してみてください。」
私には先生が太鼓判を押す程良くなっているようには見えていませんでした。
頼みの綱となった先生と離れるのが怖かったのかもしれない。
そして、このチッチャイ子を信じ、突き放す?

 

我が家にこの子が来た日から、この子を一生私が保護して行くものと思っていました。
生かすも殺すも私次第だと思い込んでいました。

 


違うんだ、この子が自ら生きているんだ。
私達は一緒に生きているんだ。
自ら快復しようと闘っている彼女の生命力を信じるんだ。

 

治療から戻りご飯を用意していると、すごい反応を示し、あっという間にペロリと完食。
ゴハンモット・・・ジ〜(ミツメル)・・・ゼッタイタベルノ・・・チョ〜ダイ
何ヶ月振りだろう、彼女からの何かを要求する仕草。

 

「分かった、信じる」(シャキ〜ン!)

 

最後の治療はモニカの為ではなく、私の為だったのかも知れません。
カイロプラクティックや生体エネルギー治療で私がいつもして頂いている治療も、それなんだと思いました。ただ横になって治して貰うのではなく、自分の本来の力で治せる様に手伝って支えて貰っているんだなと思いました。
先生達は、無くてはならない存在になるより、無くても良くなる存在であろうとしている。
それが、本当の愛、それが治療なんだなって思いました。

 

5月23日

 

大好きだった散歩に徐々に連れ出し、色んな事を取り戻そうとし始めました。
まだ下痢は止まっていなかった為、トイレットペーパーを丸ごと持って出かけました。  帰り道、ウンチをする仕草をしたので慌ててお尻の下に紙を敷こうとしました。 すると、待ち望んでいた、小さいけどしっかりと形のあるウンチが、ポロリと落ちました。
私の眼から涙が溢れ出しました。
「快復の兆し」というより、「快復」でした。

 

感極まって泣きながらしゃがみ込み、ウンチを携帯で撮影していました。

 

須藤先生には、感謝の気持ちで一杯です。
一彦先生にも久枝先生にも、多くの事を教えていただき、そしてかけがえのない命を支える事が出来ました。
同じ様に悩んでいる飼い主さんが世の中には沢山いるのだと思います。
犬にカイロ、私には考えも付きませんでした。
一彦先生も考えていなかったのかも知れません。
しかし、人間の赤ちゃんと同じように接していただきました。
そして、先生からは迷いが一切感じられませんでした。

 

多くの苦しむ人達を支える中、動物も治療して頂ける時間を作って頂く事は難しいかもしれませんが、子供と同様の気持ちで育んでいる飼い主さんの為にも、先生の力を幅広くお貸し頂けます様に、望む次第です。

 

本当に、ありがたい体験でした。
改めて、ありがとうございました。
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